自分の専門性を確認する方法
それでは専門性の確認方法について例を挙げて説明します。
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専門性は簡単にわかる?
専門性については、簡単にわかる場合とそうでない場合があります。特にこれから盛り上がってくる技術の場合、下手するとコアな学会が出来ておらず、ジャンルによって学会が違ったりする場合もあります。ただ、言い換えるとその状況でもきちんと業界全体の情報を整理して、自分なりの戦略を立てられれば簡単には他にまねできない強みになります。もしそういうテーマに当たったら差別化できるとテンション上げましょう。それくらいポジティブでちょうどいい職種ですわ。
さて、その発展途上アイテムの一つである「ドローン」を例にとって、専門性をどう確認していくかについて説明していきます。
ドローンの専門性
まずは一般的なイメージ
ドローンのイメージと言えば、これですよね。では専門性って何でしょう?
空を飛ぶから航空系でしょうか?それではまず調べてみましょう。
検索してみる
「 航空」「学会」「ドローン」で検索すると、
「日本航空宇宙学会」で行われた「飛行機シンポジウム」が見つかりました。今回は例として第55回のシンポジウムのプログラムを見てみます。学会が複数見つかった場合には、それぞれについて確認し、最も講演件数比率の高い学会をおさえておきましょう。
※参考 第55回飛行機シンポジウム講演集 日本航空宇宙学会HPより
学会のプログラムから分類チェック
予稿集からドローンの関係しそうなテーマ分類を見てみましょう。プログラムのタイトルから関係ありそうな分類をリストアップします。
・構造
・航空機産業へのRobotics, AI, IoTの活用と航空機の電動化に向けた航空ビジョン
・原動機・推進
・風洞技術
・空気力学
・材料
・航空機設計
・機器電子・情報システム
・飛行制御系設計技術
・飛行力学
・無人航空機の運航技術
・回転翼航空機
・特殊航空機
とたくさん分類があります。赤太字がドローンそのものに関するセッション、太字はドローンの研究テーマの内容によって関係する可能性のあるセッションです。例えば大分類を「航空機」として、中分類に「回転翼航空機」といったイメージで表にまとめます。
上記の場合わざわざドローンを示すセッションが独立して固められていることから、分類としてはまだ歴史が浅いことがうかがえます。ただし、「空気力学」のセッションは、プログラムのタイトルから、ドローンとそれ以外の飛行機両方が存在しているようです。分類の仕方や、それぞれのセッションでの講演件数比率から、その学会でのアイテムの位置づけも見えてきます。対象とするアイテムができるだけ高い比率で扱われている学会を探しましょう。また、この時に自分のテーマを発表するとしたら、どのセッションになるかを考えるといいと思います。
可能であれば、図書館などで予稿集を探し、自分のテーマと似た内容の発表がどのセッションにあるかを確認すれば確実です。
他の学会を探す
「学会」「ドローン」で検索して、他の学会がないかを探してみます。それぞれの学会で、独立したセッション、またはその学会での講演内容の共通点を新しい分類として追加しましょう。
出てきた学会の一例です。各学会で講演されていた分野についても併記します。もし日本航空宇宙学会のセッションでしっくりくるものがなくても、下記の学会の分野で該当するものがあればそれがテーマの専門分野になります。
日本機械学会:産業への活用全般
物理探査学会:システム、産業への活用全般
人工知能学会:自動運転
電子情報通信学会:通信システム、自動運転
農業食料工学会 、日本雑草学会:農業への活用(農薬散布)
日本建築学会:災害時のドローン活用、建築物への活用(測量、点検、施工管理)
大気環境学会、日本リモートセンシング学会:大気環境調査への活用
専門性の確認
上記の学会はいずれも規模の小さい研究会のようなイベントだったため、航空宇宙学会がドローン業界的にはメジャーな学会と考えられます。ただし、自動運転技術については人工知能学会の方が主流の可能性もあります。もし分からない場合には研究室の先生や先輩に聞いてみるといいと思います。
このような形で、「自分のテーマの専門性」と「主要学会」を確認することが出来ます。
分類をまとめて表にしてみる
ここまで出来たら、下のような分類の表を作って、自分のテーマがどこに分類されるかまとめてみましょう。これはドローンを大分類としたときの分類と該当するテーマの例になります。例えば、大分類と中分類は入れ替えることもできます。要は自分がどの切り口でアピールしたいかで決めればいいのです。
このように表にまとめておくと、次回以降のステップで役に立ちます。
表1 ドローン専門分野分類とテーマ例
まとめ
なかなかここまで複雑なアイテムは多くはありませんが、自分の専門性について理解することと、その専門性の業界における位置づけを知ることは重要です。
これはアイテムの主流の専門性だからいいとか悪いとかではありません。主流の場合、研究職の需要が多い代わりにライバルも多いということです。講演数が少なければ希少価値となるかもしれません。ただし、それは「希少価値」になるような切り口でアピールするか、その価値を認めてくれる相手を見つける必要があります。
次回は「ライバルをリストアップ」する工程を詳しく説明します。