仲間(ライバル)をリストアップする
さて、前回自分の専門性について確認したので、今度は自分のテーマに近いことをだれがやっているか、その中で自分の位置づけはどこかについて確認していきましょう。
研究職への就職大作戦はこちらも参考にしてください。
仲間を知る目的
仲間を知る目的には大きく2つあります。
①自分の研究のライバルが多いか少ないか、他の類似テーマに対してどこが強みになるのかを把握する
②就職先の候補となる組織(企業、行政法人、大学等)を探し、そこにライバルがいるか確認する
この二つを知ることで、「自分のテーマを軸にした場合に研究職としてアピールするためのストーリー」を作ることが出来ます。もちろん似ているテーマを研究していることは強みになりますが、違うことをやっているからこそのアピールの仕方もあるのです。対象となるアイテムを俯瞰で見た時に、自分のテーマの位置づけをきちんと理解できている人は社会人でも実は多くありません。この考え方を身に着けておくことは研究員として一生食べていける資質の一つになります。
仲間の探し方
ということで、前回例に挙げた「ドローン」で仲間を探してみましょう。
※前回の記事はこちら
例① 仲間の多い基礎研究テーマの場合
例えばあなたのテーマがドローンの空気力学に関するシミュレーションだとします。この分野は日本航空宇宙学会の「飛行機シンポジウム」で発表されている分野になります。下の表では赤字で示した分類になり、同じカテゴリーのテーマをこの学会の発表からピックアップして表にまとめます。具体的には「回転翼航空機」のセッションにある空気力学に関わる発表と、空気力学のセッションにあるドローンに関わる(または適用可能な)発表が対象になります。
表1 ドローン専門分野分類とテーマ例(抜粋)
表1の小分類を抜粋して、学会のプログラムから発表概要を入れていきます。ここではイメージとして架空の組織で表2を作成しています。このように表にまとめて、同じカテゴリーの類似テーマを誰が発表しているか、そのテーマは複数年連続で発表されているか、また、特定の企業と大学のつながりがあるかどうかを確認します。
この表から、自分の就職先となり得る企業や法人が分かります。さらに、例えばその企業との共同研究をしている大学は自分のライバルと言えます。
表2 各分類ごとの学会発表概要まとめ(抜粋)
例② 仲間の少ない応用研究テーマの場合
例えばあなたのテーマがドローンの農業活用に関するものだった場合は、同じ分類の中でも色々なバリエーションがあります。もちろん、基本的なまとめ方は例①と同じです。ただし注意点があります。
表3 ドローン応用の専門分野分類とテーマ例(抜粋)
例えば表3赤字のように「農薬」成分の研究だった場合にはドローンはあくまで散布方法の一つになります。ただし、ドローンの設計や飛行条件と併せた検討であれば専門性は流体工学や空気力学にも関わってきます。そのため、一番関係の深い分類とは別に、関連する分野についても同様に仲間のリストを作成してみて、自分のテーマが生かせる企業または法人があるかどうかを探してみましょう。
ということで
今回調べた範囲で仲間(ライバル)がある程度見えてきたと思います。現時点ではまだ明確に自分の強みや目指すべき方向が見えていないと思いますが、この後そこはクリアになってきますよ。